Kathy Sierraの問題に関連して、Tim O'Reillyが「ブロガーの行動規範」の必要性を論じている。下記はTimの投稿に列記されていた行動規範のたたき台。
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1. 自分の言葉だけでなく、自分のブログに掲載されたコメントにも責任を負う
ブロガーは自分の言葉だけでなく、自分が管理しているブログやフォーラムのトーン、論調、自分の行動が及ぼす影響にも責任を負っている。
多くのブロガーは挑発的なコメントを削除することを検閲とみなしているが、そのような態度は改めるべき。質の高い対話を維持するために、そうしたコメントを削除したからといって、そのブログを非難するべきではない。
自分が管理しているフォーラムで、どのような行動が容認されるかを定めておくことは言論の自由を弾圧するものではなく、促進するもの(ガイドラインの例)。
O'Reilly Radarではこれまで、検閲と批判されないように挑発的なコメントをほとんど削除してこなかったが、今後は人格攻撃、侮辱、脅迫に相当するコメントは削除する方針を採用するつもり。もちろん、単に自分と意見が違うという理由で、コメントを削除するべきでないことは言うまでもない。
透明性も重要。コメントを削除した時は、その事実と理由を明らかにすることが望ましい(ブログのプラットフォームにコメントが削除されたことと、削除理由を表示する仕組みがあるといい)。
2. 許容範囲を明確にする
ブログの方針を示すマークがあるといい(Creative Commonsのマークのようなもの)。悪意のあるコメントは自動的に非表示になるようなコメント評価システムが、ブログのプラットフォームに組み込まれるとすばらしい(Slashdotのモデレーションシステムのようなもの)。そのような仕組みがなくても、自分にとっての許容範囲をサイト上に明記しておくことはよいアイディア。
3. 匿名でのコメントは拒否することも検討する
匿名だと実名ではできないような発言や行動をする人がいる。コメント時にメールアドレスの入力を求めると、匿名でもコメントは残せるようにしながらも、説明責任を重視していることを伝えることができる。
4. 荒らしは無視する
立ち向かうべき時もあるが、たいていは無視するのが一番。コメントの応酬から身を引くタイミングも重要。相手の発言に必ず言い返そうとするのは論争を過熱させるだけ。
5. オフラインで直接会って話をするようにする。あるいは仲介者を見つけ、オフラインで話をしてもらう
議論が感情的になっている時は、公開フォーラムにコメントを書き込んでも議論をエスカレートさせるだけ。
6. 問題のある振る舞いをしている人がいたら、教えてあげる
自分の知っている人が、脅迫と見なされかねないコメントを匿名でしていたら、それが問題のある行為であることを教えてやるのが本人、相手、自分に対する義務。実際に脅迫するつもりはないなら相手に謝罪させるべきだし、本当に脅迫するつもりなら、警察と協力してそのような事態を回避するべき。脅迫ではなくても、ブログに攻撃的なコメントや記事を投稿している友人がいたら、それが問題のある行為であることを伝えること。
7. 面と向かって言わないことはオンラインでも言わない
怒りや欲求不満をオンラインでぶちまけたい衝動に駆られた時は、実際の人物を目の前にしていると考えること。相手が母親だったとしても、その言葉を言うことができるだろうか?
われわれがブログスフィアを賛美するのは、ここには主流のメディアや企業ウェブサイトが長らく失っている、率直でオープンな会話があるから。しかし、率直さ=礼節の欠如ではない。リビングルームで許されない会話を、オンラインでなら許す理由はない。
文化とは人間が共生するために必要な合意の集合体。ブログから生まれる文化は、われわれが誇りを持てるものでなければならない。
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原文:Call for a Blogger's Code of Conduct(Tim O'Reilly, March 31, 2007)